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非接地配線方式(ITシステム)2026年2月16日

非接地(IT)システムがもたらす革新:絶縁不良でも「止めない」プラント運用の仕組みとメリット

現代の産業界、特に化学プラントや大規模な製造現場において、電力供給の「連続性」は単なる効率の問題ではなく、企業の存続や安全性を左右する極めて重要な要素です。一度システムが停止(ダウンタイム)すれば、多額の財務的損失を招くだけでなく、制御不能による危険な状態に発展するリスクさえ孕んでいます。

このような「決して中断できないプロセス」を支える技術として注目されているのが、「非接地(IT)システム」です。本記事では、非接地システムがなぜ重要なのか、絶縁不良が発生した際にどのような挙動を示すのか、そしてどのように故障箇所を特定するのかについて、詳しく解説します。

 

非接地(IT)システムとは何か

非接地システム(ITシステム)とは、すべての活線部分が大地から絶縁されている配線方式を指します。

一般的な「接地システム」では、絶縁不良が発生して漏れ電流が生じると、それは遅かれ早かれ短絡を引き起こし、保護装置が作動して電源の遮断(停電)に至ります。これは安全のための仕組みですが、同時にプラントの予期せぬ停止を意味します。

一方、ITシステムでは、活線導体と接地の間に直接的な接続がありません。この構造上の違いが、故障時における圧倒的な運用の継続性を生み出す鍵となります。

 

絶縁不良が発生しても「止まらない」理由

例えば、24時間365日の稼働が求められる重要なポンプを考えてみましょう。長年の使用による摩擦や経年劣化で絶縁不良が発生した場合、接地システムであれば即座に危険な状態となり、電源が遮断されます。

しかし、ITシステムを採用している場合、絶縁不良が発生してもすぐには電源遮断に至りません。システムが大地から浮いている(絶縁されている)ため、最初の絶縁不良(一線地絡)が起きても閉回路が形成されず、大きな故障電流が流れないからです。

その結果、ポンプなどの機器は絶縁不良を抱えた状態でもそのまま動作を続けることができます。プラントを稼働させたまま、次のステップである「計画的な保守」へと移行できる点は、ITシステムの大きなアドバンテージです。

 

絶縁監視装置(IMD)による早期警告と監視

「止まらない」からといって、異常を放置していいわけではありません。ITシステムの安全性を担保し、その利点を最大限に引き出すためには、システムの状態を常に監視する「絶縁監視装置」が不可欠です。

Bender社の絶縁監視装置は次のような機能を提供します。

  • 微細な劣化の検出:
    絶縁レベルのごくわずかな低下を早期にキャッチします
  • 段階的なアラート:
    故障が大きなリスクになるずっと前の段階で「プレアラーム」を発報し、その後さらに低下が進むと「メインアラーム」で通知します
  • 計画的対応の実現:
    早期に警告が発せられることで、サービスチームはプラントの稼働に影響を与えない最適なタイミングで、計画的な修理やメンテナンスを実施できるようになります

 

稼働を止めずに故障箇所を特定する技術

絶縁不良が検知された後、次に必要となるのは「どこで問題が起きているか」の特定です。従来のシステムでは、調査のために順次ブレーカーを落とすなどの停電作業が必要になることがありましたが、ITシステムではその必要がありません。

故障箇所の特定は、以下のプロセスで自動的かつ即座に行われます。

  • 信号の追跡:
    絶縁監視装置は配電盤に設置されており、継続的に監視信号を送信しています。
  • 自動識別:
    絶縁不良(地絡)が発生すると、センサがその信号経路を追跡し、故障が発生している区間をシステムが自動的に識別します
  • 詳細な絞り込み:
    必要に応じて、ポータブル式の故障検出装置を使用することで、さらにピンポイントで故障箇所を特定することも可能です
  • 情報の共有:
    これらのメッセージは機器本体のディスプレイだけでなく、監視システムや保守担当者のモバイル端末にもリアルタイムで送信されます

このように、「電源供給を中断することなく、稼働状態のまま故障箇所を特定できる」ことが、ITシステム運用の核心的なメリットです。

 

ITシステムがもたらす経済的・安全上の利点

ITシステムの導入は、単に「停電を防ぐ」以上の価値をプラントにもたらします。

  • 安全性の向上:
    安全上のリスクが顕在化する前に予兆を捉えることができるため、極めて高い安全性が求められる環境に最適です
  • 防火対策の強化:
    絶縁不良を早期に発見・対処することで、漏電に起因する火災のリスクを低減できます
  • コストの削減:
    予期せぬダウンタイムによる損失を回避できるだけでなく、試験コストの低減なども期待でき、総合的な経済的合理性が高まります

非接地(IT)システムは、Bender社の絶縁監視技術と組み合わせることで、プラントに「止まらない安心」を提供します。絶縁不良が発生しても稼働を継続しながら、自動的に故障箇所を特定し、計画的なメンテナンスを可能にするこのシステムは、現代の重要インフラや高度な製造プロセスにおいて、欠かすことのできないソリューションと言えます。

プラントの安全性を高め、経済損失を最小限に抑えたいと考える運用者にとって、ITシステムの採用と適切な絶縁管理は、最も賢明な選択肢の一つです。